一人っ子として、ある欠落感をもっていた始に、小学校時代、同じ一人っ子の女の子の友達が出来る。
25年後、37才の時、2人は再会し、激しい恋におちる――。
今の僕という存在に何らかの意味を見いだそうとするなら、僕は力の及ぶかぎりその作業を続けていかなくてはならないだろう―たぶん。
「ジャズを流す上品なバー」を経営する、絵に描いたように幸せな僕の前にかつて好きだった女性が現われて―。
発売と同時に読みました。
そのときは,失敗作なのではないかと思いました。
しかし,10年以上経って,読み返してみると,印象は全く異なっていました。
今は,どなたかも書かれていましたが,ノルウェーの森を遙かにしのぐラブストーリーといえると思います。
ただ,単なるラブストーリーにとどまらないところが村上春樹だと思います。
人生の暗く,苦しい面を,はっきりととらえていて,恐ろしいほどです。
再読してから後,何度も読み返しました。そのたびに発見があり,小説としての魅力を感じる一方,その表現の深さに,たじろいでしまいます。
通常の小説を読むときとは,異なる経験です。
また10年後に読むとしたら,さらに深い理解ができるかも知れません。
あくまでも,わたし個人の感想ですが,一度読まれて,あまり感心しなかった方も,そこで結論を出してしまわずに,何年かしてから,再び読まれることを強くお勧めします。
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