都会の点景を描く魅力の短編18編。
佐々木マキの絵11点を収
時間が作り出し、いつか時間が流し去っていく淡い哀しみと虚し
都会の片隅のささやかなメルヘンを、知的センチメンタリズムと繊細なまなざしで拾い上げるハルキ・ワールド。
ここに収められた18のショート・ストーリーは、佐々木マキの素敵な絵と溶けあい、奇妙なやさしさで読む人を包みこむ。
目立って超有名!!という作品が収録されているわけではありませんが、いずれもはずれのない短編集です。
お茶の時間や、電車の中でも気軽に手にとって読めるのではないでしょうか。
文庫、ハードカバー共に収録作品に違いはありませんが、私はこちらのハードカバーバージョンをお薦めしたいです。
何と言っても見た目が可愛らしい(^-^;)ので・・・
ムラカミ作品ではおなじみの佐々木マキさんの表紙・イラストはもちろん、ケースから取り出した時に見えるきれいなイエローの本体や、真四角に近い形がポップな印象を強めます。
価格的には確かに文庫よりお高いですが、手元においておきたい1冊。
村上春樹の 充実した長編小説や 端正な短編小説集に比べて 本書での村上は 実にリラックスしている。
軽い話をさらりと書いているだけだ。
村上春樹の初期の短編集であるわけだが 当時の村上春樹のエッセンスに満ちている。
そう 村上春樹は お洒落で スタイリッシュで カルトな小説家だったのだ。
今の村上春樹を知っている我々である。
ノーベル賞すら噂される文豪になった村上春樹だが このカンガルー日和を読み返すと懐かしいものがある。
これを読んでいた20年前を思い出す。
喫茶店に一人で入って ぼんやり本書を読むことが素敵だった事を思い出す。
あれから 小生も遠いところに来てしまったと感慨にふける。それも人生か。
他の短編の中には「羊をめぐる冒険」に出てくるいくつかのシーンを見つけることができる。
雪の降る札幌の町、そして羊男。
長編の断片を見るようで、ファンとしてはやっぱり楽しい。
僕だけが年を取る
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