1970年夏、あの日の風は、ものうく、ほろ苦く通りすぎていった。
僕たちの夢は、もう戻りはしない。
群像新人賞を受賞したデビュー作
1970年の夏、海辺の街に帰省した<僕>は、友人の<鼠>とビールを飲み、介抱した女の子と親しくなって、退屈な時を送る。
2人それぞれの愛の屈託をさりげなく受けとめてやるうちに、<僕>の夏はものうく、ほろ苦く過ぎさっていく。
青春の一片を乾いた軽快なタッチで捉えた出色のデビュー作。
群像新人賞受賞。
僕の人生を変えてしまった一冊の本だ。
恐らく今、この小説の持つ独特の感触は薄れてしまっていると思う。
小説の賞味期限としてはもちろん長いモノであると思うし、村上春樹さんのデビュー作であるから、今後も読まれていくと思う。
しかし、出版された当時のショックは大きかった。
これを私は高校生時に読んでしまって、その後「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」を読んでしまったが為に、新作が出るたびに買わずにはいられない作家になってしまった。
この作品はいろいろしかけは多いのだが、その仕掛けをいちいち解きたくなり、また自分の説を説明したくなるという作用を持つ。
しかし、僕の感じた1番大きなことはまるで消毒された様な文体だった、という事です。
今では当たり前のこの文体ですが、その当時は本当にショックだった。
有名な1度英語で書いて翻訳した、という事実も良く分かりますが、それだけでない突き放した、自分の影を出来るだけ排除し、消した文章が、とても印象的でした。
今はやりの文体の恐らく原点、それを確認してみたい方にオススメいたします。
それと「村上春樹っていったい、何?」という人にもおすすの本です。
3時間もあれば読み終わりますよ。
なんとも言えない、爽やかな読後感が、いっそう、ファンを虜にします。
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